Noism 活動更新 及び 制作発表会見に行ってきました!

2016年4月21日
シネ・ウインド

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Noism活動更新及び制作発表会見に行ってきました (4/8、りゅーとぴあ・スタジオA)。
りゅーとぴあレジデンシャル・ダンス・カンパニーNoismは、2004年の設立以来、3年ごとに更新をおこない、今回が4度目。2019年7月末までの活動更新となります。

会見では、篠田昭新潟市長、近藤博りゅーとぴあ支配人、金森穣りゅーとぴあ舞踊部門芸術監督(Noism芸術監督)、Noism1 & 2 のメンバーが勢ぞろい。

「Noismは地方発の創造活動として、専門家や劇場関係者より高い評価を受けている」と、近藤博りゅーとぴあ支配人。

「Noismの活動が、新潟市の文化創造の力が非常に強いということを実証している。昨年、新潟市が東アジア文化都市の日本代表に選ばれたのも、Noismの活動あってこそ。昨年は金森さんが『水と土の芸術祭』のディレクターを務め、『NIDF(新潟インターナショナルダンスフェスティバル)』を開催、今年はBeSeTo演劇祭が新潟市で開催されるので、協力して大成功に導きたい」と、篠田昭新潟市長。

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そして、金森穣りゅーとぴあ舞踊部門芸術監督(Noism芸術監督)は、
「3年ごとに更新し、5回目のシーズンを迎えた。Noism2には18歳で入る人もいるが、12年というと、その人が小学校に入ったときにNoismができている。小学校中学校高校と卒業して、いまNoismに来ているという時間軸を考えると、12年の重みを痛感する」
「身体文化は時間のかかることであり、サステナブル、持続可能な環境がなければ成熟していかない文化。様々なものがグローバル化して世界的に標準化されてゆく。どこにいても同じような服を着て同じようなものを食べて同じような生活ができるといわれているが、こと身体においてはどうしても場所性が切り離せない。我々が新潟で培っている、またこれから培っていこうとしているものは、新潟独自のものとして成熟し、日本の文化になっていくのだと思っている。これまでの12年間が、我々の身体文化をいかに新潟の街の文化にしていくかを念頭に置かれたものであったとすれば、これからの3年、あるいはその先は、それが世界の財産になるように、世界の身体文化における財産が新潟で生み出され新潟から発信されているのだということを世界的に認識していただくために、これからも日々精進していかなければならないと思っている。そのために皆さまにも変わらぬご支援、ご協力を願いたい」
「4年後の2020年には東京でオリンピックが開催される。様々な文化イベントが日本各地で行われていくだろう。それらが2020年以降に何を残すのかということを、我々は考えなければならない。NIDFしかり、BeSeTo演劇祭しかり、そういうものが一時的な、消費されるお祭り的要素としてではなく、持続可能な文化として継続されていく体制をいかにして組めるかが、新潟に問われていることであり、私自身に問われていることだと思う」と、力強く語りました。

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続いて、6月に上演する新作「ラ・バヤデール―幻の国」について。

「ラ・バヤデール―幻の国」は、古典バレエの名作「ラ・バヤデール」を原案とし、90年代以降、日本演劇界に大きな影響を与え、現在もっとも注目されている劇作家演出家のひとりである平田オリザさんが翻案、新たな作品として書き下ろしたもの。
空間の田根剛さん、衣裳の宮前義之さんをはじめ、世界的に活躍している芸術家たちが、ここ新潟に集結し、新潟から世界に舞台芸術を創造発信します。

踊り子ミランを演じる井関佐和子さんは、「これまでは強い女性を演じてきて、強さの中の弱い部分を出さなければならなかったが、今回はその逆で、弱い女性の中に強さはあるという、新しいチャレンジ」と、意欲を語りました。

また、金森さんは、「いかに舞台芸術を社会化させていくかが重要だと考えている」と。
「言い換えると、業界的な、舞踊が好きな人たちにはわかるようなものとか、舞踊の歴史の中では新しい、ということを超えて、現代の社会においてこの表現が何を言おうとしているのか、あるいは、社会の何を疑問視しているか、という社会性を持った作品を創作したい」と話し、
「ある種の社会性・政治性を物語に込めていただきたかったので、平田オリザさんに脚本をお願いした。そして、見事に込めていただきました。平田さんの(翻案の)設定に驚くと同時に、よし、これで本当に、いま作って発表する価値のある作品になるなと思いました。虚構を通してリアルな社会情勢政治情勢に内包された問題をいかに皆さまに提示できるか、あるいは、皆さまとともに考察できるか」と。

常に芯の揺るがない発言をする、金森さん。
硬い話ばかりでなく、記者の質問に「それを話すと3時間かかりますよ」など、笑いを誘う機知に富んだ返答も。

新潟に根を張りつつ、世界に目を向け、羽ばたいてゆくNoismの、新作「ラ・バヤデール―幻の国」、そして、次の3年間の深化が、本当に楽しみでなりません。

(月刊ウインド編集部 市川明美)

※取材記事は月刊ウインド6月号(6/1発行)に掲載予定

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Noism劇的舞踊 vol.3
「ラ・バヤデール―幻の国」新潟公演
●2016年6月17日(金)19:00、18日(土)17:00、19日(日)15:00 ※全3回
※各回公演終了後アフタートークあり。
演出:金森穣(Noism芸術監督)
脚本:平田オリザ
振付:Noism1
音楽:L.ミンクス《ラ・バヤデール》、笠松泰洋
空間:田根剛(DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS)
衣裳:宮前義之(ISSEY MIYAKE)
木工美術:近藤正樹
舞踊家:Noism1 & Noism2
俳優:奥野晃士、貴島豪、たきいみき(SPAC ‒ 静岡県舞台芸術センター)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
入場料:(全席指定)
一般  S席 4000円 A席 3000円
U25  S席 3200円 A席 2400円
※U25=25歳以下対象・入場時要身分証。N-PACmate等他の割引と併用はできません。
取扱い:
▸りゅーとぴあ(窓口・電話・オンライン)
チケット専用ダイヤル 025-224-5521(11:00-19:00、休館日除く)
オンライン・チケット http://www.ticket.ne.jp/ryutopiaticket/
▸イープラス http://eplus.jp/(PC・MB共通)

★「ラ・バヤデール―幻の国」特設サイト → http://labayadere.noism.jp/
物語のあらすじやキャラクター相関図のほか、参加クリエーターや出演者による特別インタビューやリハーサル写真など掲載。

神奈川公演:7/1(金)~3(日) KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
兵庫公演:7/8(金)~9(土) 兵庫県立芸術文化センター〈阪急中ホール〉
愛知公演:7/16(土)愛知県芸術劇場〈大ホール〉
静岡公演:7/23(土)~24(日)静岡芸術劇場

★Noism写真集『JO KANAMORI / NOISM by KISHIN』
10年にわたる舞台のすべてを写真界の巨匠・篠山紀信が撮り続けた奇跡の写真集!!
定価:4300円+税 192ページ・フルカラー
発行・発売:パイインターナショナル