新潟市美術館で開催中の「東郷青児」展。
その開場式&内覧会に行ってきました(2019/1/12)。

洋画家・東郷青児(1897-1978)。
その、淡い色合いとちょっと人間離れした美しい女性の絵を、目にしたことのない人は少ないのではないでしょうか。

東郷青児は鹿児島生まれ。
1916年、19歳の時に、西洋の新しい美術を志向する日本の画家たちが集まっていた二科展で最高の二科賞を受賞し、鮮烈なデビューを飾ります。
1921年から7年間フランスに留学しピカソらと交流。帰国後は二科展で活動しながら、滞仏経験を活かした文筆や壁画、挿絵、装丁で人気を博しました。(資料より)

開場会式では、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館の中島隆太館長(写真)のお話が興味深かったです。
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なぜ損害保険会社が東郷青児なのかというと、関東大震災のあと、昭和7、8年頃、当時主力商品であった火災保険のパンフレットの表紙のデザインを冊子にしようという企画が持ち上がった。その時に挙がった中に東郷青児の名前があり、採用された作品が東郷の「黒い手袋」(1933)。その後、パンフレットやお客様に配る扇子のデザインなど、一人の作家との付き合いが奇跡的に40年以上も続いた。大手町にあった本社を新宿に移転することになったとき、当時の経営者がビルの中に美術館を作って社会に恩返しをしたいと考えた(前身会社のひとつである安田火災)。東郷に相談したところ、全面的に協力、コレクションも寄贈していただいた。
東郷は鹿児島生まれで、5歳の時に家族で東京へ移住。小学校時代を過ごしたのが、新宿の余丁町小学校。東郷にとって新宿は第二の故郷と言えるのではないか。そこに自分の名前を付けた美術館ができた。これは東郷にとっても大変喜ばしいことだったのではないかと想像できる。そんな歴史の不思議なご縁と必然があって、いまここ新潟で東郷青児展が開催される。本展がまた新たなご縁を生み、地域の発展に少しでもお役に立てれば、収蔵館としてこれほどうれしいことはない。
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本展では、東郷絵画の変遷を辿る約80作品と共に、有島生馬や中川紀元ら関連作家作品。書籍の装幀や企業パンフレット、洋菓子店の包装紙などの「デザインの仕事」。エッセイや短編小説などの「言葉の仕事」もあわせ、東郷芸術の全体像を一望にすることができます。

開場式後に展示を拝見。
若さの勢いを感じさせる初期作品から、老練の描きだすこぼれるほどの色気まで。
資料も豊富で、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館でもなかなか見られないものも展示されているとのこと。
以前東京で出合い、大変魅力を感じた《超現実派の散歩》に再会できたのも、うれしいことでした。

皆さんもぜひ会場に足を運んでみてください。
カラー図版がたっぷり掲載された、新潟市美術館オリジナルの『東郷青児 絵と言葉』が素晴らしいです。

(月刊ウインド編集部 市川明美)
※月刊ウインド3月号(3/1発行号)にも記事を掲載します

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●東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館収蔵
「東郷青児」展
http://www.ncam.jp/exhibition/4578/

会期:2019年1月12日(土)~3月24日(日)
時間:9時30分~18時 ※観覧券販売は17時30分まで
休館日:月曜日(ただし、1/14、2/11は開館、1/15、2/12は休館)
会場:新潟市美術館 (新潟市中央区西大畑町5191-9)
観覧料:一般700(550)円 大学・高校生500(400)円 中学生以下無料
※( )内は団体(20名以上)・リピーター割引料金
※障がい者手帳、療育手帳をお持ちの方、および一部の介助者は無料(受付で手帳を提示)
主催:新潟市美術館 共催:新潟日報社
問い合わせ:新潟市美術館 TEL:025-223-1622 FAX:025-228-3051

詳しくは公式サイト参照 http://www.ncam.jp/exhibition/4578/