10月20日(金)~22日(日)公演
坂口安吾生誕祭111 演劇「戦争と一人の女」
構成・演出 上田晃之インタビュー

1906年10月20日、坂口安吾が新潟市西大畑で生を受けてから111年。今年の「坂口安吾生誕祭」では、劇作家・演出家 上田晃之による舞台「戦争と一人の女」(原作:坂口安吾)が上演されます。原作の「一人の女」を4人の女優が演じるという意欲作です。

シネ・ウインドでは2013年8月に、井上淳一監督の映画「戦争と一人の女」を上映しています。井上監督の映画は、安吾の原作に、戦後実際に起こった殺人事件を加味した作品でした。今回の上田晃之さんによる舞台「戦争と一人の女」は、映画とはまた別なアプローチであり、現代の視点を加え、「いま」を生きる者にリンクしていきます。

以下のインタビューでは、上田晃之さんと演劇との出会い、新潟公演のきっかけなどをお聞きしています。

※このインタビューは、月刊ウインド2017年9月号に掲載されたものです。

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写真 左:上田晃之さん 右:丹沢美緒さん

やりたいこと、ずっと

上田◆演劇を始めたのは震災以降です。それまでは文学や映画が中心でした。学生時代は映画研究会に所属し、新聞社でアルバイトをしたり、卒業後は俳句の出版社で編集の仕事や、制作プロダクションでディレクションの仕事などをしていました。震災があった後に、今まで自分がやっていない分野の何かで表現をしたい、と思った。それはかなり個人的な理由なんですけど、プライベートと世の中のバランスが取れなくなったのかなぁ。それで、日本劇作家協会の戯曲セミナーに行って学び始めた。講師は平田オリザさんや坂手洋二さん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんなど、第一線で活躍している方々。テクニックの勉強もあるんだけど、歴史を感じ、キャラクターを感じた。皆さん、それぞれ違うし。当時は、とにかくたくさん戯曲を読み、公演を見に行きました。そして、そこで知り合った人たちと、リーディングの会を月1でやったり、短編オムニバス公演で役者をやったり、自分が書いた本をみんなに読んでもらったり。いつだって、やりたいことはずっとやり続けたらいいんじゃないか、と思ってた。世の中に合わせる必要はない。出会ってきた人たちの中には変な人もいろいろいたから、そんなふうに思えたんじゃないかな(笑)。

その後、四谷三丁目の「喫茶茶会記」というところに関わり、自分で上演することを始めた。最初に自分の作品を演出して上演したのは2014年の4月です。まだ3年前。そこから12回ぐらい公演をして、作品も10作ほど作りました。近年に駆け足でやりだしたんですけど、それまでに考えてきたこと、見てきたものだとかを、全部どんどんやっているっていうのが、現状です。

戦争にフォーカス

上田◆「戦争と一人の女」は、この3月にAPOCシアター(世田谷区・千歳船橋)で上演する前に、2016年の5月に「喫茶茶会記」で、僕と丹沢美緒さんの二人で45分くらいの劇としてやったのが最初です。3月の公演は丹沢さんも含めて出演者6人でした。原作ものをやったのは安吾が初めて。
――なぜ安吾で、なぜ「戦争と一人の女」だったのでしょう。
上田◆自分が震災以降に劇を始めたっていうことと、現代劇をやっているということがあり、現代の、近くにあるのか遠くにあるのかわからない戦争のことを考えていた。丹澤さんと、なにかやろう、なにかいい原作はないかなと探していて、彼女が出演するって思ったときに、ふと思い浮かんだのが「戦争と一人の女」だった。安吾は高校や大学の時に好きでたくさん読んでいました。いろいろ考えて、原作ものだと、太宰とか芥川とかがよく上演されているけど、そういうのじゃないんだな、って思って。戦争の方に僕のフォーカスが当たっているっていうことがあった。

安吾が、ここの風

――今回の新潟公演のきっかけは、シネ・ウインド齋藤正行代表(安吾の会世話人代表)が3月の公演を見に行ったことですよね。
上田◆3月の公演の案内を坂口安吾関係のところに送ったんです。で、今年2月に東京で安吾忌があった時に出席させてもらってたら、齋藤さんにお会いして。「あ、フライヤー届いてるよ」「見に行くよ」って言っていただいて。
――東京の安吾忌に初参加して、そこで? すごくいい出会いというか、きっかけでしたね。それが新潟公演にまでつながるとは!
上田◆この作品はやる価値のあるものだと思って、3月の公演に際しては、きちんと、関係するべきところには関係し、ご案内しました。齋藤さんが見にきてくださって、「新潟には来たことあるか」って。「ないです。終わったらすぐに行きます」って答えました。

3月の公演終了直後に新潟に来た時、齋藤さんが案内してくださったのですが、地理的な話とか、平野があって、砂丘があって、とか、満州航路の話とか、いろいろそういう話を聞きました。上演時にも、安吾の風の部分をテーマにして、風、風って考えていたんだけど、なるほどなぁ、と思いました。安吾が、ここの風なんだ、って。新潟の平野なり、砂丘なりあるところの、日本海の方の風なんだな、って。新潟はその印象が大きいですね。

現代にアクセス

上田◆今回、男役の金野泰史さんはそのままですけど、女役はほとんど変わる予定です。
――前回は丹沢さんも出演されていたんですよね。3月の公演はどうでしたか。
丹沢◆私の役は、場内アナウンスのようで、出演者で。役に対する感想も賛否両論、リアクションがおもしろかったです。構成が斬新なんですよね。(ネタバレ部分省略)現代にアクセスできるような内容になっていて、そこが上田らしさ、でもあると思います。
上田◆大変なんですけどね、世の中が変わると現代の部分が変わるので。3月とこの10月でも違う。
――加筆・改訂するのですか。
上田◆大枠は変わらないですけど、変えざるを得ないところはあると思います。もっと描けたんじゃないかっていうところもあるし、3月の出演者に当て書いている部分もあるので。

※6月30日 シネ・ウインドにて
テープ起こし 岸じゅん / 聞き手・文・構成 市川明美

※シネ・ウインドにて前売券販売中!⇒こちら

上田晃之(うえだ あきゆき)…劇作家。綜合藝術茶房 喫茶茶会記(新宿区大京町・四谷三丁目)副店主。1980年9月6日生まれ。秋田で生まれ、秋田、仙台と転居し、福岡で小・中・高校時代を過ごす。法政大学文学部文学科卒。大学では映画研究会に所属し自主映画を制作。現在は東京在住。

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インタビューの後で決定した出演者には、3月に新潟古町えんとつシアターで「語り 桜の森の満開の下」を上演した千賀ゆう子さんや、国際映像メディア専門学校(i-MEDIA)出身・桐生桜来さんの名前も。

新潟公演を決意した上田さんたちの意気に感じ、全5回公演をぜひとも満席で迎えたいと思っています。なにかとお忙しいこととは存じますが、ぜひ、演劇「戦争と一人の女」をご鑑賞ください。

演劇「戦争と一人の女」新潟公演
(全5回・上演は1時間30分の予定)
原作/坂口安吾 構成・演出/上田晃之
出演/金野泰史 花村雅子 瑞希 菅沢こゆき 桐生桜来 千賀ゆう子
会場/りゅーとぴあ・スタジオB
日時/ ※各回、上田晃之とゲストによるアフタートークあり(約15分)
10月20日(金)14時~ トークゲスト:坂口綱男(安吾 風の館館長、坂口安吾長男)
10月20日(金)19時~ トークゲスト:市川明美(月刊ウインド制作長)
10月21日(土)11時~ トークゲスト:中津川英子(フリーアナウンサー)
10月21日(土)17時~ トークゲスト:江口歩(新潟お笑い集団NAMARA創設者)
10月22日(日)14時~ トークゲスト:梨本諦嗚(映像作家)
料金/一般 前売3500円(当日4000円)
U25 前売・当日 2000円
※全席自由
チケット取扱い/りゅーとぴあ、シネ・ウインド
シネ・ウインド ホームページ ネットショップでも販売中
公演情報/ http://ango.cinewind.com
チケット問い合わせ シネ・ウインド ℡025‐243‐5530
※11/2(木)~5(日)、横浜公演あり
https://awomanandwar.jimdo.com/参照

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「坂口安吾生誕祭111」この他のイベント
●「安吾 風の館」見学とゆかりの地めぐり
10月14日(土)13時30分~15時30分
集合場所/「安吾 風の館」(中央区西大畑町)
参加費/500円 ※要申込
●安吾杯 こども将棋大会
10月21日(土)9時30分~12時
会場/新潟教育会館(中央区西大畑町)
参加費/100円 ※要申込
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○主催・問い合わせ
坂口安吾生誕祭事項委員会事務局(新潟市文化政策課内)
℡025‐226-2563

★月刊ウインド10月号には、8月に行われた「戦争と一人の女」事前キャンペーンのレポートが載っています。
あわせてお読みください。