猫に目的はあるか

月刊ウインド編集部
黒猫が「クロ」、キジトラが「チビ」

猫は美しい。猫は期待に応えてくれない。こちらの解釈を歯牙にもかけない。傍若無人に障子を破るし、叱っても言うことを聞いてくれない。しかし、たまに顔を合わせてニャアと鳴くだけで飼い主は嬉しくなってしまう。ただ猫が健康でいることに満足するしかない。一日中ゴロゴロしているくせに、俊敏でしなやかな肉体を持っている。後ろ足で頭を掻いたり、綱渡りのようなことも平気でする。確かにもし君たちが言葉を話すことができたら、さぞ人間は愚かで滑稽だろう。そもそも猫に目的はあるのだろうか。目的を考えるのは愚かな人間だけなのだろうか。生きていくこと以上に、何かに不満を溜め込んで、日々頭を悩ませている私には、猫はそうしたことを問いかける存在だ。どうしたって人間の悩みが解消されることはない。それでも、猫さえいてくれれば、幾らかマシなのだろう。       

(上田晃之〈2〉)

※月刊ウインド2020年11月号掲載

■東京・新宿にある綜合藝術茶房 喫茶茶会記の副店主で、2017年の坂口安吾生誕祭111で舞台「戦争と一人の女」の構成・演出をした劇作家・上田晃之さんに原稿を寄せていただきました。

■月刊ウインドの人気連載、2回ずつで書き手が変わるリレーコラムです。ウチの猫、ウチの犬のことが書きたい!という方は、月刊ウインド編集部までご連絡ください。

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