おすすめ作品『白い牛のバラッド』

2022年4月13日
月刊ウインド編集部

4/16(土)~4/29(金) シネ・ウインド上映 ※4/19、26休館

 ★上映時間→ https://www.cinewind.com/schedule/

 ★劇場受付と公式サイトで13日前より座席チケット販売中 購入はこちら→ https://cinewind.sboticket.net/

あぶりだされる 現代の闇

気鋭の女性監督が自ら演じ、伝えたかった物語

  

〇『白い牛のバラッド』のススメ〇

〈そしてイラン映画がつづく〉

ただのサスペンスじゃあない、哀しくも引けない執念の人間ドラマ

まず始めに簡単なあらすじを読み、「なんて気の毒なテーマなのかしら」と思いながらこの映画を観たとき、粛々と引き締まった映画筆致に驚かされました。「いまイラン映画はこれほどまでに凄いぞ」とねちねち触れ込みたいのですが、残念なことに周りで興味を示してくれそうな人がいないので、ならばこれこそシネ・ウインドで上映しなければと奮い立った。いまイラン映画が凄い。韓国映画も、イギリス映画も、フランス映画も、面白い作品が続々と入ってきていますが、イラン映画の面白さは個性的で、飾り気はなくとも気骨のあるタッチで始終し、世界中の文化人の内側に沁み入るようなムードを醸す。アッバス・キアロスタミの作品がリマスター上映され、アスガー・ファルハディ監督も新作を発表し、昨年には『ジャスト6.5 闘いの証』と『ウォーデン 消えた死刑囚』が公開され、イラン映画の独特なエネルギーに舌を巻きました。そして2022年も、幸いなことにイランからの新作映画が上映される運びとなりました。

『白い牛のバラッド』は法制度と現代社会の不条理をテーマに、冤罪によって夫を失った女性を主人公とし、判事に謝罪を求めて活動する場面などがイラン政府の検閲によって問題視され本国では上映中止に処された一作です。そんな気の毒な母娘の前に、ひとりの男が現れる。このおじさんは、亡くなった旦那さんにお金を借りていたのでお返しにきましたと言います。母娘は親切なおじさんと関わっていきながら、亭主の無念を少しでも晴らすべく頑張っていく、というお話です。しかし、死刑執行のあとで冤罪が判明するというのは、法治国家で最もあってはならないことであり、死刑制度の廃止が求められる根拠のひとつですね。裁判所は賠償金を淡々と用意するだけで遺族からの謝罪要求には応じない。人々の権利を保障し、安寧を維持するための法制度が、単なる冷たい決まり事として人を哀しませ、苦しめる。恐るべき事態ですね。主人公の女性は深く落ち込み、悶々と苦しむ。叫ぼうにも叫ばせない女性への抑圧。新鋭監督によるイラン社会への疑念は本国では封じ込められましたが、こうして山を越え海を越え、世界中へ発せられました。

短編映画、ドキュメンタリー、コマーシャルを手掛けてきたベタシュ・サナイハと、スウェーデンの舞台やイラン映画への出演を重ねてきた女優のマリヤム・モガッダムが、共同で脚本と監督を務めています。さらにマリヤムさんは主演も務め、その主人公設計は自身の母親を基にしているそうです。なんでも子どもの頃、実父を政治犯として処刑された経験をもつとのこと。死刑執行数世界2位であるイランをはじめ、各国の死刑制度への厳しい批判意識を研ぎ澄ませたこの映画は、まさに渾身作ですね。ということで、この注目の監督たちがイランの現状をどう睨み、どう描いて映してみせたか。これは震撼させる問題作であり、エネルギー昂る見事な人間ドラマです。イラン映画に注目してもらうきっかけのひとつとなれば幸いです。〈そしてイラン映画がつづく〉企画として、6/4㈯よりアスガー・ファルハディ監督最新作『英雄の証明』上映となります。ご期待ください。

(上映企画部 若槻)

2020年 イラン・フランス (1時間45分) ペルシア語 

英題:Ballad of a White Cow 配給: ロングライド

監督: ベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム

出演: マリヤム・モガッダム

公式サイト https://longride.jp/whitecow/

  

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