上映企画部だより 2025/2/4

若槻

毎週土曜日はシネ・ウインド会員による運営機関「上映企画部」打ち合わせの日です。

ノンフィクション、いかがですか。

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

今回はフィクションとノンフィクションという観点から、映画に限らず考えてみました。

フィクションのご都合主義は、ある意味魅力のひとつ。でも、現実と違うところに、ふとモヤッとすることがありませんか。

そんな視点で、映画や漫画を見てみたら、ノンフィクションの面白さも見えてきました。そんな記事となっております。

ご都合主義が気になるお年頃です。


映画じゃなく、漫画の話ですが。
初めて生理が来たとき、それまで読んでいた漫画の主人公にモヤモヤしたことを覚えています。

なんでかっていうと、少女漫画の女の子たちには、一切そんな描写がないから。

生理なんて女性の生活と切ってもきれないのに、まるで存在しないかのように描かれません。

月に一度、意図しないタイミングで汚物が垂れ流れてくる。朝、前日に洗ったばかりのシーツが汚れていて、パジャマも下着もアウト。全部洗うには、塩を入れたぬるま湯に漬けて、手でつまみ洗いして、洗濯機へ……。考えただけでいやです。今のフェムケアと呼ばれる商品には感謝しきり。

親に話すと「生理は祝うもの!」と言われてケーキを買ってくれましたが、誕生日ケーキの時のような喜びはなく、違和感が正直半分くらいありました。

なのに、漫画の女の子たちは、まったくそんな経験を見せない。そのスマートさが羨ましく、同時にもやもやしていました。

「ーーー3年後」じゃ、あかん!!


これは少女漫画に限った話ではありませんが、「努力」の過程が一コマで済まされるのもモヤつきます。

「ーーー3年後」(1コマ or 1ページ)じゃ、あかん!

1コマじゃ、努力の過程が伝わらない! その3年には、山も谷もあったはず。そこが一番大事なの!

たとえば、最初はやる気ある。でも三日で飽きる。
結果が全然ダメで、面倒くさいけど少しずつ向き合う。慣れてきたと思ったら、また飽きる。
やってることに無意味さを感じて全部投げ出す。でも、何もなしていない自分が居心地悪くなって、また始める。たまに自分のダメな未来を想像して無駄に絶望したりする。

そして結果が出たことの喜びの何物にも代えがたさ。

……そういうのがあるはずじゃん!!!

 

 

ついでに、そんな努力ができる環境にいられること自体、超貴重なはずなのに、そのありがたみも表現されずスルー。

「環境のありがたさ」とかをリアルに描いて、一回その環境を失う展開も必要では?

たとえば病気になるとか、経済的に詰むとか!!

、、、なんだか、嫌な年の取り方をしているんでしょうか。

将来若手を羨んで「若い奴らはこれだから、、、」とか言ってそうですね。気をつけます。

でも、こういうことが気になって、作品を素直に楽しめないのは。

少しずつ、大人に守られていた傘からはみ出してきているからかもしれません。

世間の「立派な大人」の3分の1くらいかもしれないけど、世の中の不条理と向き合ってきた、そんな、辛いけど愛すべき時期があったからだと思います。

うーん、なんだか文句ばかりすみません。

ノンフィクション、どうでしょう。


そんなときに興味が出てくるのが、ノンフィクション作品。

ノンフィクションには「神(作者)」がいません。
フィクションと違って、作り手の意図で世界が大きく操作されることがありません。

現実をそのまま写した作品では、いろんな人が、いろんな出来事と出会い、反応が起こり、良いことも悪いことも、そのまま記録されていきます。
観客は、大きな不幸も、予想外の幸運も、そのまま受け取ります。

もちろん、編集の切り取り方や、撮る人の視点、インタビューの仕方で、見え方は変わります。
それでも、「元からそこにあったものの濃度」 が強く出るのがノンフィクションの魅力だと思います。

自分の身の回りにもいそうな、普通の人たち――
老若男女問わず、さまざまな人生を歩んできた人たちが登場します。

現実と違ってノンフィクションの良いところは、彼らの大事な何かを彼らの言葉で、観客に伝えてくれるところにあります。普通は他人に簡単に聞けないようなセンシティブな内容に触れることも、大きな魅力です。

そんなシーンを観ていると「この人はこんな考えをしてそう」と、自分のフィルターを通して見ていた相手が、実はまったく予想しなかった過去を持ち、驚くような価値観を持っていたり。

それが、現実の奥深さなのかもしれません。ともに現実を生きていく人の世界を、映画館で体験してみませんか?

色んな気付きを、ノンフィクションは、ちらりと目配せされるような感覚で教えてくれます。

そんなこんなで、ノンフィクション映画、いかがでしょう。

シネ・ウインドでも上映します。(岩船暢子)

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