シネ・ウインド上映企画会議 毎週土曜19時～
この日、一生分の「ヴァン・ダム」連呼
【40周年祭】初日、〈トキメ筋肉祭り2025 in にいがた〉『エクスペンダブルズ2』の上映を終えました。シネ・ウインドKEEPプロジェクトによる新規映写機器(レーザープロジェクター)へ設備交換し、前日から上映は開始していますが、これが更新した映写による最初の特別興行となりました。
俳優ジャン＝クロード・ヴァン・ダムのフィーチャー、アンサンブル・キャストによる豪華大作『エクスペンダブルズ2』、ゲストには『三角絞めでつかまえて2』覆面ブロガー カミヤマ△さん、我ながら【40周年祭】特別興行に相応しい開催となったと思います。
とは言え、イベントの司会進行、ゲストをお招きする聞き手に関してはド素人。県外からお越しいただき前夜祭に約5時間ヴァン・ダム・トークで盛り上がるほど熱心なファンを相手にトークイベント務められるか、ぐるぐるに委縮しながら「『エクスペンダブルズ2』劇場鑑賞をもって最後の作戦練りしよう」などと悠長に考えていたら案の定、普通に観入ってしまって気が付けばエンドクレジットで焦りだす始末。結果的に準備不足たたって要所要所でグダりだすという…。貴重な時間を割いてもらっているなか、拙いありさまを露呈していたこと、誠に申し訳ございませんでした。
上映企画部に属して初めて「貸館による上映企画、特別興行、ゲスト招待」となりましたが、実施できて本当に良かったと思います。カミヤマ△さんに俳優JCVDについて、また『エクスペンダブルズ2』について映画館のお客様を前に語ってもらえたこと。「新潟でこんな上映企画やってくれるなんて」「観てよかった」「来て良かった」とお声をいただけたこと。いままでジャン・ヴィランのごとく他者に迷惑ばかりかけてきた人生なだけに、こんなに感謝してもらえることがあっていいのか、と。全く感謝慣れしていないために思考がぐるぐるのしどろもどろ状態でしたが、とにかくこの機会にヴァン・ダムという存在が気になってきたり、映画価値観や精神的なコンディションが少しでもプラスに向上してもらえたなら、上映企画部員・映画館関係者として幸いです。
何度も言っていることではありますが、アメリカ映画界が製作・興行不振といった諸事情により盛り下がりを感じるとはいえ、世界各国から日本に届けられる映画の数は本当に多いです。映画がたくさんあるなか、鑑賞する環境も変わりつつあります。デジタル映写機交換、相次ぐ映画館・レンタルビデオ店の閉業、パッケージメディア事業の縮小と動画配信サービスの一般化。
映画はたくさんあるのに、観る機会、施設、商品は失われていく。今なら配信サービスで安く簡単に視聴は出来る。それでも著作権や人格権保護など、事情によって配信期間が限られる、または配信すらされないタイトルもたくさんあります。映画はたくさん製作され配給されていくのに、業界内外が映画価値を維持していくことが難しい、需給バランス崩壊ですね。
上映企画部員として個人的に最も無念なのは、このような現状によって名作映画、傑作、労作だろうと、B級C級低予算作品、Z級トラッシュムーヴィーだろうと忘れ去られていくことです。もちろん時日を経るごとにそうなるのは無理もないことですが、総合芸術として価値あるものの埋没は人類の重大な損失です。映画館に関わっている身として、少しでもこの風潮に対抗したい。この上映企画もその一環です。
確かに存在している、または存在していた趣を今一度引っ張り出してフォーカスを絞る。13年前、銀座シネパトスさんで銘打たれた【トキメ筋肉祭り】を冠するのも、『木曜洋画劇場』ならこうなるかもしれないと作品紹介寄稿したのも、そのためです。かつて映画を盛り上げるために頭を捻ったスタッフがいて、それは確かに打ち出されていたこと。賞賛されるに相応しいスタァがいて、それを押し上げる製作者がいること。そういった人たちに影響を受けて、応援し続ける人がいること。そういった確かな存在に今一度注目したく、そして注目してもらいたい。価値あるものはいつまでも趣深いものであってほしい。あるべきである。要するにそんなところです。
ということなので、催事の進行役としてはこの上ない酷さでいまも自らの気持ち悪さでゲンナリしていますが、この上映は私がこの世に生きていた証として、これもまたひとつの文化として、何かを残せたかな、と実施できて良かったと思っています。
いずれまた、時を経て【トキメ筋肉祭り】を受け継いでくれるような好事家が現れて、映画とはいいものだと思い語ってもらえる機会が末永く続いてもらえたらありがたいことです。
ご来場いただいた皆様に深く感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
若槻健人
シネ・ウインド上映企画部では、上映作品の選定や、作品紹介をお手伝いしてくれる方を募集しています。上映企画会議は毎週土曜19時より、事務所2Fフリースペースにて。映画館の運営に興味がある方、見学・入部など、お気軽に劇場スタッフにお声掛けください。