8/9㈯~8/22㈮ ※8/12㈫休映 19㈫休館

2024年 韓国
1時間34分
配給:ツイン
監督
イ・ジョンピル 『サムジンカンパニー1995』
製作
パク・ウンギョン 『殺人の輪廻』
脚本
クァク・ソンフル
キム・ウグン
撮影
キム・ソンアン 『対外秘』
美術
ベ・ジョンユン 『国家が破産する日』
編集
イ・ガンヒ 『モガディシュ 脱出までの14日間』
音楽
タル・パラン 『王の願い ハングルの始まり』
挿入歌
Zion.T
出演
イ・ジェフン 『シグナル』
ク・ギョファン 『新感染半島 ファイナル・ステージ』
ホン・サビン 『このろくでもない世界で』
ソン・ガン 『ナビレラ それでも蝶は舞う』
2024年、北朝鮮から韓国への脱北者数は236人。そのうち女性は210人、男性はわずか26人。男性の脱北が少ないのは、女性よりも監視の目が厳しく、身分を偽るのも難しいからだと言われています。
そんな場所から、自由を求め南へ逃れようと決意した北朝鮮軍の兵士ギュナム(イ・ジェフン)。身寄りもなく、除隊を目前に控えた彼は命がけの脱走計画を考えます。しかし、いざ決行というときに後輩のドンヒョク(ホン・サビン)に計画を知られてしまいます。さらに幼馴染で今は少佐となったヒョンサン(ク・ギョンファン)からも追撃を受けることに。


今作は、単なる脱走劇に留まりません。追う者と追われる者という関係性だけでなく、相反する生き方を選んだギュナムとヒョンサンの対立が描かれます。その背景には、「自分の人生はこのままで本当に良いのか」という葛藤があります。ギュナムは「自由になって、自分のやりたいことをやる」という想いを抱き、ヒョンサンは「現実と向き合い、ここで生きることを選んだがゆえの苦悩」を抱えています。夢と現実、自由と責任。2人は互いの信念を貫くために、激しくぶつかり合っていくのです。

ノンストップで展開する脱走劇。ギュナムは数えきれない困難に襲われながらも機転を利かせ、後ろを振り返らず走り続けます。迫る銃弾に追跡者、そして絶体絶命のピンチの連続。始めから終わりまで、張り詰めるような緊張感が続き、観るものを釘付けにします。中でも印象的だった「人民の自由と幸せのために」と掲げられた看板を車で突き破るシーンは、偽物の自由を抜け出し、本物の自由をつかもうとするギュナムの意志を象徴しているかのように見えます。
やりたいことがあるのに勇気が出ない、挑戦したいけれど今の場所に縛られている、そんな葛藤を日々抱える私たちの胸に、この映画は深く突き刺さってきます。観終わった後、きっとあなたも心の奥で固まっていた“一歩”を踏み出したくなるはず。
宮下千宙
《上映時間》
8/9㈯~8/15㈮ 〇12:50~14:35 ※8/12㈫休映
8/16㈯~8/22㈮ 〇14:40~16:25 ※8/19㈫休館
