おすすめ作品『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』

シネ・ウインド

7/30(土)~8/12(金) シネ・ウインド上映 ※8/2、9休館

 ★上映時間→ https://www.cinewind.com/schedule/

 ★劇場受付と公式サイトで13日前より座席チケット販売中 購入はこちら→ https://cinewind.sboticket.net/

 ★初回上映後に上映企画部によるミニトークあり(約10分)

  

【ゾンビ映画】の始まりにして金字塔

人間が人間を破滅させていく――常に社会風刺を込めてきたロメロならではのテーマは時を越え、我々に今、痛烈に襲いかかる

〇『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のススメ〇

「ウインド恐怖映画祭2022」ジョージ・A・ロメロ監督特集《ロメロにメロメロ》

往年の名作や大ヒット作品からカルト人気作まで、復元技術の発達によって多くの映画作品がリマスター・レストア版となって劇場公開されてきている。サヴァイヴァル・ホラーの名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』もまた、1968年の公開から54年を経て、鮮烈な再誕となった。初めてこの映画を観たとき、その怖さに震え、それでいて必死のヒューマンタッチに目が離せなかった。優れた映画は、筋書こそ簡素ながらも、その奥行きは無限大である。本作は凶暴なゾンビ(生ける屍)たちに追い詰められ、一軒家での立て籠りを余儀なくされた人々の絶望的な闘いを描いた恐怖映画だ。ゾンビといえば、古くはブードゥー教で伝わる呪術を用いた儀式によって蘇らせた人間の死体のことだ。罪人であった彼らの死体を復活させ、生者の奴隷として働かせることで、生前の罪を償わせていたという。ところが当時若手の映画監督ジョージ・A・ロメロは、リチャード・マシスンのSF小説『地球最後の男』からのインスピレーションにより、「呪術による奴隷の死者」であったゾンビの存在を「人肉を貪るために蘇り生者に襲い掛かる脅威」として描いてみせた。その惨憺たるイマジネーションに世界中が凍り付き、ゾンビとはなんと恐ろしい存在だと人々の認識が改められるに至る。本作がモダン・ゾンビ映画の元祖とされるのは、そういったところだ。

それでいて本作の見どころは、虚ろな表情で襲い来るゾンビたちの存在感だけではない。追い詰められた人間たちによる、生き延びるための思考と行動。その懸命さを冷酷に見る目線である。仲間がいて、恋人がいて、家族がいる。それが何だと言わんばかりの、冷ややかな感性が作劇を睨んでいる。これまで小説や映画で描かれてきた群像劇の定石を過去のものとして無残に跳ね返す。ロメロは60年代当時のアメリカを渦巻く差別、暴動、戦争における人心の荒廃を感じ取り、これを映画へ反映させた。延々と続く対立、拡大していく被害、報われない努力。人間が考え得る恐るべき事態が連なる描画によって、観る者を無尽蔵のサスペンスへ引きずり込む。本作は死者が怪物へ変貌するシュールなスリラーでありながら、最も人間臭いホラー映画ともいえる。このあたりが映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の飽くなき趣である。

もはやこれ以上の深掘りは何を言っても無粋となるだろう。世界中でよく知られるタイトルであるため、既にご覧になっている人も多いと思う。まだ観たことがない、この映画について詳しく知らないという人がいるなら、なんとも羨ましい。ゾンビ映画の始まりとされるこのサヴァイヴァル・ドラマを鮮烈に感受する機会を得ているのだから。ホラー映画ファンなら改めてこの映画が持つスリリングなエネルギーを劇場にて体感してもらいたい。貪欲に恐怖感を追求する未曽有の映画筆致が、今でも血を求めるかのように息衝いている。

(上映企画部 若槻)

1968年 アメリカ モノクロ (1時間36分) 

配給:アンプラグド 監督:ジョージ・A・ロメロ

出演:デュアン・ジョーンズ、マリリン・イーストマン、ジョージ・コサナ、ジュディス・オーディア

©4K restoration © 2017 Image Ten, Inc. All rights reserved.

公式サイト https://unpfilm.com/NOTLD4K/#

 

〈ご案内〉

今年の「ウインド恐怖映画祭2022」はジョージ・A・ロメロ監督特集《ロメロにメロメロ》と題し、初期の傑作3作品を連続上映します。今年1月に長らく封じられていた問題作『アミューズメント・パーク』を上映、クラウド・ファンディングによって『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の日本語吹替版が初めて製作されるなど、全国的にロメロ監督作品が再評価されている気運が高まる今夏、「ウインド恐怖映画祭2022」《ロメロにメロメロ》をぜひ当劇場にてご鑑賞ください。

 〇7/30(土)~8/12(金) ※8/2、9休館 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4Kリマスター版』

 〇8/13(土)、15(月)、18(木) 『ザ・クレイジーズ』

 〇8/14(日)、17(水)、19(金) 『マーティン/呪われた吸血少年』

★各作品、初回上映後に上映企画部によるミニトークあり(約10分)

★『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4Kリマスター版』の入場チケットを『ザ・クレイジーズ』または『マーティン/呪われた吸血少年』鑑賞時にご提示いただくと、お得な割引料金(1,200円)でご入場いただけます。

★月刊ウインド8月号の特集は「ウインド恐怖映画祭2022 開映によせて」。ジョージ・A・ロメロ監督の魅力を全力で伝える特集です。ぜひあわせてお読みください。

■シネ・ウインド上映企画部/悪魔の毒々フリークスPresents

  

◎新型ウイルス感染症の影響により、掲載内容に変更が生じる場合があります◎

※新型ウイルス感染症対策については公式サイトをご覧ください。

※ご来場の際はマスク着用の上、食事(軽食・菓子含む)はご遠慮ください

※シネ・ウインドは全席「座席指定制」、火曜休館

※劇場受付と公式サイトで上映の13日前より「座席指定チケット」を販売しています。受付混雑緩和のため、事前購入と早めの来場にご協力ください

  

★会員、常時募集中!  (入会案内→こちら

「新潟・市民映画館シネ・ウインド」は、1985年12月に開館した、市民がつくり市民が運営する映画館。入場料収入や年会費で成り立つ民間団体です。ぜひ会員になって、継続的なご支援をお願いいたします。

会員になると、お得な料金で映画をご覧になれるほか、特典多数。1ヵ月分の上映スケジュールが載っている会報「月刊ウインド」が毎月お手元に届きます。

★「シネ・ウインド明日のため募金2022~対新型ウイルスプロジェクト~」にご協力ください https://ashitano2022.cinewind.com/