おすすめ作品『ひかり探して』

シネ・ウインド

6/18(土)~7/1(金) シネ・ウインド上映 ※6/21、28休館

 ★上映時間→ https://www.cinewind.com/schedule/

 ★劇場受付と公式サイトで13日前より座席チケット販売中 購入はこちら→ https://cinewind.sboticket.net/

 

彼女たちそれぞれの選択とは―

人と人との関わりが、生きる希望となる物語が書きたかった ― 監督 パク・チワン

 

〇『ひかり探して』のススメ〇

ウインド上映企画“女たちの挽歌”第1弾

いま世界中で女性たちの活力と連帯をテーマにした映画作品が相次いで製作され、日本にも届けられています。なぜでしょうか。もちろん様々な理由はあるでしょうが、大雑把にみてみますと、やはり女性の活躍劇は粋な画になるからですね。不幸が不幸として哀感溢れ、努力の姿が気迫を帯びてくる。人生の逆境をどうやって跳ねのけるか、その情緒と面白さはガサツな男連中じゃあ醸しきれません。現実が男社会だからこそ、劇の趣が面白くて、神経が昂ってしまうものだから、どんどん支持されていくんですよね。ということで、女性陣の活躍が目覚ましい作品たちが揃ってきました。お姉さんたち、おじさんの皆さんも、これを観て明日また頑張ってみてください。

この社会の片隅に

本作はどういったお話でしょうか。この映画はミステリアスな風情を含みます。あまり詳しいことは申せませんが、ぜひ観てもらいたいので、少しだけ記してみます。韓国で、台風が吹き荒れるある日の夜。離島にて、少女が一人、遺書を残して絶壁から身を投げた。その遺書には「父と兄に代わって謝罪します。さようなら」とあった。台風による海面上昇によって遺体は流されてしまったよう。休職を経て復帰した刑事は、少女の失踪を自殺として事務処理するため、島に向かう。捜査に当たると、島民や関係者たち、少女の保護を担当した元刑事、連絡が途絶えた少女の家族、少女を最後に目撃した声が出せない女の人などから、父親が大規模な密輸事件に関与していて、少女が重要参考人とされていたことを知る。警察の家宅捜査、監視カメラによるプライバシーの侵害、未返却の本、右腕の不審な怪我、カメラに映る独りの表情。自殺を図った少女の、生きようとした痕跡。この事件にはまだ深入りする余地があると、女刑事は少女に自分を重ねて感情移入し、単独で捜査を継続するが。

『国家が破産する日』『10人の泥棒たち』で知られるキム・ヘスが演じる刑事は事情がかなり混み入っていて、夫の浮気が原因で離婚裁判を控えている。さらに夫から浮気のうわさを広められて職場で陰口をたたかれるなど、窮地に追い込まれてノイローゼ気味である。そんな彼女が身投げした少女の最後の目撃者である聾唖の女(イ・ジョンウン『パラサイト 半地下の家族』『チャサンオボ』など)と出会い、少女にシンパシーを感じる。家族と財産をすべて失ったという少女の自殺事件に自身と似た境遇と孤独の苦しみを感じ取り、謎めいた痕跡を追っていく。さあこの事件に何があったのか、女刑事はどうなっていくのか。このミステリー、刑事ドラマがどういうラストに向かっていきましょうか、そういうシナリオなんですが、これは韓国の新たな女性監督パク・チワンのオリジナル脚本で、長編デビュー作だそうです。2006年頃から短編の脚本と監督にあたってきて業界には長くいるのですが、本作の脚本は初稿から8年以上を経て完成したとのこと。完成度が認められ、百想芸術大賞の映画部門脚本賞を受賞しました。キム・ヘス、イ・ジョンウンらもこの脚本に入れ込み、出演を快諾。見事な演技をもって、女たちの執念と行動力を示し、本作を一筋縄ではいかない優秀作へと高めていきましたよ。

そういうことで、この映画、最後までじっくりご覧ください。だんだんと、明日頑張るためのヒントがわかってきます。生きるって何?生きるってどういうこと? それは自分の痕跡を残していくことですね。生きていくとは死ぬまでのヒマつぶしじゃあありません。生きるのはシンドくて、疲れるもんですよね。私も全身が痛くて、そろそろラクになりたいなぁと思っていたのですが、この映画を観ますと、長生きしてみるのも、まあ悪くはないのかなと思いましたよ。

 (上映企画部 若槻)

2020年 韓国 (1時間56分) 英題: The Day I Died: Unclosed Case

配給: スモモ、マンシーズエンターテインメント 

監督・脚本: パク・チワン

出演: キム・ヘス、イ・ジョンウン、ノ・ジョンイ、キム・ソニョン

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公式サイト https://www.sumomo-inc.com/hikarisagashite 

 

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