9/6㈯~9/12㈮ ※9/9㈫休館

『阿賀に生きる』
『エドワード・サイード OUT OF PLACE』
阿賀の流れと中東の大地
記録と記憶の二つの話し
「阿賀に生きる」ほど長きにわたり愛され、また新しいファンを増やし続けているドキュメンタリー映画はとても珍しいと思います。それは恐らく、自然と共に暮らす人の素朴さという親しみやすい側面のみならず、佐藤真監督の鋭い社会批評性や人間観察の深さが時代を超えて訴えてくるからでしょう。そして遺作となった「エドワード・サイード OUT OF PLACE」では、エルサレム出身の文学評論家エドワード・サイードが生まれ育った土地を訪れ、現在そこに暮らす庶民やサイードの家族への取材を重ねる、個人史と現代史とを重ねるような映画を作りました。二つの映画を通して佐藤監督ご自身のたどった記録と記憶を考えてみませんか。
井上経久

小森はるか監督が挑む、
終わりなき「記録」
ドキュメンタリー映画「阿賀に生きる」の発起人であり、50年間、新潟水俣病の患者に向き合ってきた旗野秀人(新潟水俣病安田患者の会事務局長)に寄り添い、その土地の記憶の継承に挑んだ作品。一見シンプルなドキュメンタリー映画の形式をとりつつ、様々な世代の人々や時代を結び付ける試みや、既制作の作品と連続性を与えるなど多面性のある制作姿勢の試みと独創性が評価され、恵比寿映像祭2025「第2回コミッション・プロジェクト」特別賞に選ばれた。小森監督は東日本大震災後も歩み続ける市井の人の日常を記録し、これまで多くの作品を発表してきた。そして2022年には旗野さんを撮るため、新潟へ移住。撮影開始から約10年を経て完成した最新作となる。
月刊ウインド2025年9月号より
☆舞台あいさつ
日 時:9/10㈬、11㈭、12㈮『春、阿賀の岸辺にて』12:40の回上映後
ゲスト:小森はるか監督、旗野秀人さん(出演)
料金:大人2000円、シニア・学生1300円 会員1200円 60歳以上&29歳以下会員1000円
