『ポンヌフの恋人』
『汚れた血』
『ボーイ・ミーツ・ガール』
『ポーラX』
4/11㈯~24㈮ ※火曜休館、18㈯休映
特設サイト

あまりにも鮮烈な、映画の奇跡
レオス・カラックス監督の最高傑作と評され、37億円に達した製作費や、ポンヌフ橋周辺を再現した巨大セットでの困難を極めた撮影が伝説的に語り継がれている本作が、92年以来久々でシネ・ウインドに登場する。
パリ・ポンヌフ橋をねぐらにする不眠症の大道芸人・アレックス(ドニ・ラヴァン)と、失恋の痛手と失明への恐怖から街を彷徨う画学生・ミシェル(ジュリエット・ビノシュ)。ふたつの孤独な魂は惹かれ合い、ポンヌフを起点にパリ市中を疾走してゆく。
フランス革命200年に湧くパリで、ホームレスとして生きる男女の薄氷を踏むような愛の日々を、カラックスは、鮮烈な映像美と選曲センス、そしてさり気ない慈愛の眼差しを込めて描き切る。映画芸術のある頂点を、ぜひご堪能ください!
久志田渉
月刊ウインド2026年4月号より
満身創痍の恋
橋の上で出会い、生活をする若いふたりは瞬く間に恋に落ちる。ふたりは、寄り添い合うというより、お互いの肩にもたれかかっている。歩くときも、抱きしめ合うときも。ふらふらな足取りで歩み寄り、まるで相手の肩に沈み込むように。力無い足取りなのに、ふたりの意思は真っ直ぐお互いを向いてる。それは、まさに満身創痍の恋なのかもしれない。
情熱的な恋愛劇のようでいて、描かれているのは純粋な恋愛劇だ。執着する愛と手放す愛、揺れ動くふたりの想いに注目して観てほしい。
ピストルの音を掻き消す花火、橋から去ることを許しはしない鋭い眼差し、燃えるポスター、暴力的なまでに美しい映像アート。
これをスクリーンで観ないなんて、もったいない。
宮下千宙
月刊ウインド2026年4月号より
愛の衝動、鮮烈なイメージ
レオス・カラックスのデビュー作である「ボーイ・ミーツ・ガール」では、失恋をした男女が夜のパリで出会い惹かれ合う。モノクロの世界で街灯の光が、若さ故の孤独を癒すように揺れる。2作目の「汚れた血」は、愛のないセックスで感染する病が流行する近未来のパリを舞台に、愛の三角関係や犯罪劇を鮮烈な色彩で描いたフィルム・ノワールだ。この時点でカラックスは25歳。以後映画監督を目指す人にとって、25歳は一つの壁になったはず。
そして「ポンヌフの恋人」から8年後、「ポーラX」で復活。原作はメルヴィルの小説で、突如現れた異母姉を名乗る女によって、名家の青年は愛による破滅の道へと転落していく。
ボウイの『Modern Love』を聴けば、走り出してしまうこと間違いなし。
渡辺茉依
月刊ウインド2026年4月号より

