【ウィークエンド秀作選】第6弾
日本初公開から45年
映画ファンたちが待ち望んだ傑作が高画質化を経て再公開


1980年 アメリカ
1時間41分
配給:ザジフィルムズ
監督
ロバート・バトラー
『乱気流 / タービュランス』
製作
ジェイ・ウェストン
『愛は心に深く』
製作総指揮
アーノルド・コペルソン
『セブン』
原作
ウィリアム・P・マッギバーン
『復讐は俺に任せろ』
脚本
ビル・ノートン・Sr.
『白熱』
リック・ナトキン
『ビバリーヒルズを乗っ取れ!』
撮影
ヴィクター・J・ケンパー
『マジック』
美術
スチュアート・ワーツェル
『蜘蛛女』
編集
アーガイル・ネルソン
『ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実』

音楽
アーティ・ケイン
『ミスター・グッドバーを探して』
出演
ジェームズ・ブローリン『カプリコン・1』
クリフ・ゴーマン『ゴースト・ドッグ』
リチャード・カステラーノ『ゴッドファーザー』
ダン・ヘダヤ『ブラッド・シンプル』
ジュリー・カーメン『グロリア』
失業、誘拐、銃撃…そろそろカタをつけてやる
約45年前に日本でも劇場公開、TV放送されVHSが発売されるも、以後マニア以外からは忘れられていたアメリカン犯罪サスペンスが待望のリマスター上映。1980年、子育てするには治安が悪すぎる街ニューヨークの真昼間から誘拐事件発生。我が子を攫われた親父ジェームズ・ブローリンが怒り追いかける。え?ということは誘拐されたのは幼い頃のジョシュ?ではありませんね、娘役は『リトル・ダーリング』(ロジャー・イーバートも好評価していたセクシャル青春コメディ)に脇役で出ていたアビー・ブルーストーン。
しかし問題なのは”ツキがないアメリカ市民”の役に定評のあるジェームズ・ブローリンが扮する主人公の気の毒さ。犯罪者や変質者が跳梁跋扈する割に警察が人員削減されて対処が追いつかないという世の末っぷり。リストラされた元警察官が真昼間に愛娘を攫われて、被害者なのに元同僚たちからマトモに相手されないし、それどころか関係ない市民を巻き込んで怒られて、元相棒からショットガンで追い回される、泣きっ面にダン・ヘダヤという苦難の塩辛さに泣けてきます。しかもバクテリアが繁殖したアイスが大繁盛するような、「現代アメリカに平和はあるのか」という問題意識と娯楽志向を併せ持つ、フィルムスピリットの積極性に舌を巻きました。


といいますのも監督が当時TV番組制作などで着実にキャリアを積んでいたロバート・バトラー。『アップ・ザ・クリーク(ウハウハザブーン)』でカルト人気を獲得、『ブルームーン探偵社』でブルース・ウィリスを人気俳優へ押し上げ、『乱気流 タービュランス』でレイ・リオッタの怪演を光らせた、やり手の名監督。さらに製作総指揮がニューヨーク出身のアーノルド・コペルソン。この当時は45歳くらいでしたが、この後に『プラトーン』を製作してから、『フォーリング・ダウン』『逃亡者』『セブン』『イレイザー』と錚々たる話題作を連作。90年代のアメリカ映画を大いに盛り上げた重鎮プロデューサーですね。
そんな一流の映画名人たちが作り上げた『ジャグラー / ニューヨーク25時』。長らく”幻の映画”と扱われていましたが、アメリカの堕落、アテにならない警察組織への鬱憤、落ちぶれる亭主に泣かされる女房、健気な子ども、善良な市民が迷惑する理不尽、アイス美味しい、この100分に全部ある。シュワルツェネッガーの『コマンドー』も、この映画の影響を受けてます。たぶん。
宇尾地米人
