『ブラッド・シンプル』原題:Blood Simple. 1984年 アメリカ映画 監督/製作/編集:ジョエル・コーエン 製作/脚本/編集:イーサン・コーエン 撮影:バリー・ソネンフェルド 編集:ドン・ウェイグマン 美術:ジェーン・マスキー 衣装:サラ・メディナ・パプ メイクアップ:ジーン・アン・ブラック ポール・R・スミス 助監督:デボラ・レイニッシュ 音楽:カーター・ベーウェル 出演:ジョン・ゲッツ フランシス・マクドーマンド ダン・ヘダヤ M・エメット・ウォルシュ 当館公開日:2002年11月2日
ご存知コーエン兄弟のデビュー作であり、1982年から撮影され、84年に初上映、翌85年に一般公開され大変な評判となったインディーズ映画。ストーリーから撮影技術、映像設計、編集までフィルム・ノワールへのオマージュ満載。さらにアメリカン・ブラックユーモアと情無用なサスペンスタッチを含めた映画情趣はアメリカのみならず日本の映画監督たちにも影響をもたらし、後の『ファーゴ』や『ノーカントリー』に至るセンスを既に披露しております。
フランシス・マクドーマンド、バリー・ソネンフェルド、カーター・バーウェルといった重鎮たちのデビュー作でもありますが、そう我らが俳優ダン・ヘダヤの出世作でもありますね。ここぞとばかりに書き記したいのですが、ダン・ヘダヤ、いい俳優ですよね。滲み出る叩き上げ感の風貌がいい。脇を固めていくポジションがいい。それでいてタフツ大学卒業で中学校教師から俳優へ転身しているキャリアがいい。
この人、映画・テレビシリーズともに数々のヒット作へ参加していますが、『コマンドー』ではシュワルツェネッガーと、『デイライト』ではスタローンと共演しているだけでも凄いのに、クリント・イーストウッド、トム・ハンクス、メル・ギブソンらと共演済み、『アダムス・ファミリー』『ユージュアル・サスペクツ』のような根強い大人気作にも顔を見せ、『エイリアン4』の医療宇宙船の最高責任者でゼノモーフに不意打ちされていたり、もう世界で一番羨ましいキャリアを積んでいますよね。ホラー映画『ダウン』では殺人エレベーターに関してロン・パールマン、エド・ハーマン、マイケル・アイアンサイドと並ぶという最も強烈な記者会見シーンまで演じていましたね。
アメリカではリチャード・ニクソン大統領に似ていると評判で、それもあってか、警察関係者、将軍、大統領とか社会的地位の高い役どころに多く起用されております。いや、どうしてこんな日本の片隅でダン・ヘダヤは素晴らしいキャリアの名優と独り熱狂しているのかというと、4月上映のウィークエンド秀作選・第6弾タイトル『ジャグラー / ニューヨーク25時』にも出演しているんですよね。主役ジェームズ・ブローリンの元同僚警察官で、娘を攫われた主人公をショットガンで追い回し、無関係なニューヨーク市民たちを震え上がらせるというとんでもない場面まで演じているのだから、もはやダン・ヘダヤ俳優人生、枚挙にいとまがないですよ。アメリカの見事な名優です。この人の俳優圧、存在感、じっくり刮目してみてください。
宇尾地米人
