11/29㈯~12/12㈮ ※火曜、12/6㈯、7㈰休映

2025年 日本
1時間45分
配給:コギトワークス
監督
芳賀薫
原作
原田マハ『風のマジム』
脚本
黒川麻衣
エグゼクティブプロデューサー
笹岡三千雄
企画プロデューサー
関友彦『BAUS 映画から船出した映画館』
プロデューサー
佐藤幹也『ふつうの子ども』
助監督
岡部哲也『海辺へ行く道』
撮影監督
矢﨑よしかつ『バラシファイト』
美術
寒河江陽子『ゆきてかへらぬ』
録音・整音
古谷正志『箱男』
編集
齋藤任左

音楽
高田漣『横道世之介』
主題歌
森山直太朗『あの世でね』
出演
伊藤沙莉『タイトル、拒絶』
染谷将太『旅のおわり世界のはじまり』
富田靖子『茶々 天涯の貴妃』
高畑淳子『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』
どこにいても、風は起こせる
さて問題です。ウィスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、ラム。これらのお酒の共通点は――?
正解は「蒸留酒」です。さらに言うとこれらは「世界五大蒸留酒」とされております。ただ、このうちラムは、日本でほとんど存在を無視されてきたお酒でした。理由は明快で、ラムの原料であるサトウキビは沖縄と鹿児島の南西諸島でしか栽培されていないことに加え、そのほとんどが製糖工場に運ばれ砂糖になっていたからです。それに沖縄には泡盛とオリオンビールが既にあるので、誰もラム酒を作ろうとは思いもしなかったのです。

そんな中、この話の主人公である伊波まじむは、おばあとともに足繫く通うバーでラム酒と出逢う。まじむは一口飲みその魅力に惹かれ、社内ベンチャーコンクールに、南大東島産サトウキビを原料としたラム酒製造の企画を応募したところから物語は大きく動き出す。
まじむの一途な思いつきから始まったこの企画は、家族、会社、南大東島の島民をも巻き込む一大プロジェクトへと発展していく。もちろんすべてが思うようにうまくいくわけではない。マーケティングなんぞ度外視したその行動に、目くじらを立てる人もいる。それでも彼女の熱に絆され、手を貸してくれる人がどんどんと現れる。まさに風を巻き起こしているようである。

余談ではあるが、原作小説の中でまじむは那覇市に実在する映画館『桜坂劇場』内にあるカフェバーでラム酒と出逢っている。映画館が文化の発信地となっているところに、私は親近感を覚えずにはいられなかった。
ふと、思った。我がシネ・ウインドにおいても、彼女のように風を巻き起こしている人がたくさんいるな、と。風を起こす人たちは惹かれあい、気づけば集まってくるものなのかもしれない。ぜひ、ココにいる「まじむ」たちに会いに来てください。
ホンマダイスケ
月刊ウインド2025年11月号より


ゼロから始める女性の実話
いわゆるアニメ声の対極の、特徴あるハスキーボイスで『映像研には手を出すな!』のアニメ化成功に大きく貢献、実兄のオズワルド伊藤からは「ウチの妹ねえ、天才なんすよ」とネタにされ、毎年冬の訪れとともにキレッキレのダンスで三角チョコパイの季節を寿ぐ。そんな伊藤沙莉は、かつての常識や固定概念を「はて?」と飛び越える朝の顔として、あらゆる層に親しまれる存在になった。

台風中継でしかその名を聞かない南大東島で、特産のサトウキビを使ったラム酒作りをゼロから始める女性の実話映画化。映画館自体久しぶりの人にも、直球を正面から受け止めることにテレがちな映画好きにも、伊藤沙莉はリーチする。そして、届けるべきものをしっかり届けてくれるのだ。島のめぐみの香りと風が、新潟の皆様にもきっと、届きますように。
永井美津子
月刊ウインド2025年12月号より
《上映時間》
①11/29㈯~12/5㈮ 〇12:10~14:05 ②12/8㈪~12/12㈮ 〇14:10~16:05
12/8㈪は舞台あいさつ、ケーキ販売あり。
原作モデルのラム酒を使用したケーキ屋さん Oldtown Dessert Company 佐々木岳人さん来館。
※この日のみ招待券使用不可
