『ようこそ映画音響の世界へ』

シネ・ウインド

〇映画の「音」をテーマにしたサウンド・ドキュメンタリー

 これは昔からの映画愛好者、これからの映画ファンの皆様、映画を嗜むすべての人々に送られた必見の記録です。その題名の通り、「映画音響」の歴史・仕組み・効果をフィーチャーし、映画をどれだけ立派な芸術娯楽へ構成するものであるかを解明していきます。非常に興味深い内容で、多大な情報を含みつつ、ハイテンポで語り流れるため、95分ではまだまだ観足りない、味わい尽くせない感すらあります。それだけ「映画音響」というものが雄大かつ深淵な分野であるということですね。

 映画音響の歴史は映画の歴史ですね。活動写真が音を持ち、映画の役者が声を発したことが驚かれ、トーキー映画は盛況で迎えられる。録音の技術が発達し、演技作劇に多彩な音構成がなされるように。時代とともに才能溢れる個性派監督が現れ台頭してきたように、映画音響も技術の発展、風格の拡がりを遂げていく。ドルビーの技術開発、サラウンド音声の導入を経て、クリアで迫力の立体音響が実現。現在に至り映画館や家庭内でも高価ながら充実した音環境が親しまれています。

© 2019 Ain’t Heard Nothin’ Yet Corp.All Rights Reserved.

〇音響製作の第一人者たちが語る、映画の「音」

 映画音響とはどれほどのものか。映画界の第一線で活躍を続けるクリエイターたちがその魅力と重要性を語っていきます。音響技術者、デザイナー、アーティスト。音のプロフェッショナルは鋭利な感性を備えて、監督のイメージに応え、ときにそれを越える製作や調整の仕事をこなし、映画を活かす。撮影が画を作り、音響が音を作る。それが映画。音の編成は複雑で奥深く、底知れず無尽蔵だ。生ける者に息吹をもたらし、美しい背景がより映えるように。もっと立体的に。さらに情緒的に。呼吸、歌、楽曲、動物、車両、風雨、雷鳴、銃声、打撃、爆音。物語に厚みを加え、演技を風味豊かに、リズムを整え、ロマンをもたらす。よりリアルに、激しく、華麗に、力強く、情緒豊かな表現へ。活動写真が、もっと感動的な総合芸術へと昇華させるため、音響製作者は今日も大胆かつ繊細に演出にあたっている。

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〇あの名作の、あの名音

 映像中で語られる映画作品はホームドラマ、ロマンス、スペクタクル、サスペンス、SF、アクション、西部劇、戦争、ミュージカル、アニメーションなど多岐に渡ります。

『プライベート・ライアン』の、銃声、爆裂、地獄のような戦闘状況。

 『ナッシュビル』の群衆、環境音。音による物語の進行。

 『スター・ウォーズ』が放つ生物と機械の衝撃的新感覚の世界観。

『地獄の黙示録』における人間意識の音響化。その独特の映画構成。

『ルクソーJr.』の、生活音による質感、生命力。本物による本物らしさ。

『ジュラシック・パーク』、世界中を驚愕させた恐竜の咆哮。

『マトリックス』、デジタル世界の音響効果。その驚異的な表現力。

『プリティ・リーグ』、アフレコによる声の芝居を録音編集した再調整の妙味。

『トップガン』、本物のジェット機の駆動音、工夫を加えた迫力効果。

『インセプション』、映画世界へ引き込む、荘厳なサウンドトラック・スコア。

他にも懐かしの名作、話題の人気傑作が多数登場、印象的な「場面」と「音」を見せ聞かせます。

映画ファン必見の注目作『ようこそ映画音響の世界へ』。シネ・ウインドでは2020年末、2021年始の上映作品の1作です。12月19日からの3週間上映。これからの映画感性が、より鋭く、より豊かなものへとなるかもしれません。是非ご鑑賞ください。 

上映企画部 若槻