古の王子と3つの花

古の王子と3つの花
2024/2/243/1
古の王子と3つの花

運命は変えられる
エジプトからフランス・オールヴェルニュ、そしてトルコへ
古代・中世・18世紀のうっとりするような至福の旅

フランスを代表するアニメーション監督ミッシェル・オスロの最新作は、美しい歴史書をひもとくように、魅惑の古の世界へと観客を誘う。 3つの異なる都市と時代を舞台に、自分を信じることで運命を変え幸福を手にする3人の王子のエキゾチックな物語。
2022年夏にルーヴル美術館で開かれた「二つの土地のファラオ:ナパタ王家の叙事詩」展のために制作された第1話「ファラオ」。綿密なリサーチをもとに映画の世界を組み立てていく監督の手法は今回も健在。ルーヴル美術館の古代エジ プト美術部門長ヴァンサン・ランド氏監修のもと、史実に忠実に再現された造形表現は、まるで美術館に紛れ込んだかのよう。
第2話「美しき野生児」の舞台はパリからおよそ400km、フランスの中心に位置し美しい自然に恵まれたオーベルニュ地方。監督が取材旅行で撮影した写真をもとにデザインされた色鮮やかな背景に、影絵風の黒いシルエットが野生の王子の美しさを引き立たせる。
東洋と西洋が交差する独自の文化を持つトルコを舞台にした3話目「バラの王女と揚げ菓子の王子」は、監督の膨大なアイディアの引き出しから繰り出された、時代を超越した空想の物語。

古代エジプトを象徴し、永遠の命を示すと言われる“蓮”。フランス、オーベルニュ地方に自生し昔から薬として用いられてきた“ゲンチアナ”。世界を代表する産地の一つで美しさと甘い香りで人々を魅了するトルコの“バラ”。どんな環境にあってもそれぞれの個性を持ち美しい花を咲かせること―3人の王女と共に王子たちの未来を予見するかのように3つの花が劇中で効果的に使われている。