アメリカの影〈ジョン・カサヴェデス レトロスペクティブ リプリーズ〉

アメリカの影〈ジョン・カサヴェデス レトロスペクティブ リプリーズ〉
2023/10/3011/8
アメリカの影〈ジョン・カサヴェデス レトロスペクティブ リプリーズ〉

 ニューヨークのマンハッタンで暮らすヒュー、ベン、レリアの3人兄妹。黒い肌を持つ長男のヒューに比べ、弟のベンと妹のレリアは白人の血を多く受け継いで、外見は白人と変わりない。ヒューは売れない歌手。一家の暮らしは、ヒューが支えているのだが、親友でマネージャーのルパートがもってくる仕事は、ストリップの前座や場末のクラブの司会といったもの。ベンの夢はトランペット奏者になることだが、無力感にさいなまれ、日夜、街を徘徊しては女性をひっかける刹那的な生き方をしている。レリアは世間ずれしていないしっかり者で二人の兄弟から愛情を注がれている。ある日、レリアは友人に誘われたパーティーで、白人青年のトニーと出会い、意気投合した二人は結ばれる。彼女にとってトニーが初めての男性だったが、トニーが心の底から自分を愛していないと思い、レリアは激しく傷つく。トニーはそんな彼女をなだめ、家まで送っていくのだが、そこに仕事が戻ったヒューとかち合う。トニーは目の前の黒人がレリアの実の兄だと知って、困惑の表情をあからさまにする。ヒューは愛する妹をこれ以上傷つけまいとして、トニーを追い払う。
 その日から悲しみにくれるレリア。そんなある日、レリアはバーティーで友人から黒人青年デイヴィッドを紹介される。彼との出会いや兄弟の励ましもあり、次第に傷心していたレリアも徐々に平常心を取り戻していく。
 ある夜、デイヴィッドとデートに出かけようとしたところ、トニーと出くわす。しかし、無言のまま、すれ違う二人。ヒューは巡業へと出発する。ベニーと仲間たちは夜の街で女をめぐる喧嘩に巻き込まれ、手酷く痛めつけられる。今の生活に嫌気がさしたベニーは、これまでと違った人生を過ごすと誓い、一人、夜の街を歩いていく。