湖のランスロ《ロベール・ブレッソン特集》

湖のランスロ《ロベール・ブレッソン特集》
2022/11/511/11
湖のランスロ《ロベール・ブレッソン特集》

騎士道精神の崩壊と許されざる恋を描いた
ブレッソン悲願の企画
デジタルリマスターの美しい映像で、ついに日本初公開

『抵抗(レジスタンス)―死刑囚の手記より』(56)『スリ』(59)『やさしい女』(69)などで知られるフランスの映画監督、ロベール・ブレッソン。プロの俳優をキャスティングせず素人を起用するなど、過度な演出を徹底的に排除して真実そのものを追求する映像表現〈シネマトグラフ〉を標榜。ゴダールらヌーヴェルヴァーグの作家たちをはじめ世界中の映画人に多大な影響を及ぼし、寡作ながら唯一無二の傑作を生み出してきた彼の、日本では特集上映などを除き劇場未公開だったふたつの作品『湖のランスロ』『たぶん悪魔が』が40年以上の時を経てついに公開。しかも両作とも最新の技術を駆使した4Kデジタルリマスターによって美しい映像が見事に甦る。

時は中世。城に帰還したものの、聖杯探しに失敗し多くの戦死者を出したアルテュス王の円卓の騎士たち。その中のひとり、ランスロは王妃グニエーヴルとの道ならぬ恋に苦悩していた。神に不倫をやめると誓うランスロだったが、グニエーヴルにその気はない。仲間のゴーヴァンはランスロを心配するものの、権力を手に入れようと企むモルドレッドは罪深きランスロを貶め、自分の仲間を増やそうと暗躍する。団結していたはずの騎士の間に亀裂が入り始め、思わぬ事態が引き起こされるのだった……。

アーサー(アルテュス)王伝説に登場する王妃グニエーヴルと円卓の騎士ランスロの不義の恋を中心に、騎士道精神が崩壊していく様を現代的視点で描いた時代劇。監督三作目の『田舎司祭の日記』(50)の直後に製作しようとしたものの予算の問題などで挫折。その後も何度か映画化を試みるも成立しなかった企画が20年以上経ってついに実現、ブレッソン渾身の一作として迎えられ、第27回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞した。騎士たちのショッキングな殺戮シーンから始まるという従来のブレッソン作品からは想像もつかないような異色作でありながら、王への忠誠心、王妃への愛、そして神への誓いの間で苦悶する主人公はじめ、全編ブレッソン独自の美学に貫かれている。撮影は『ベニスに死す』(71)といったヴィスコンティ監督作や『たぶん悪魔が』『ラルジャン』(83)などのパスクァリーノ・デ・サンティス。

3月11日(金)より、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開
マーメイドフィルム/コピアポア・フィルム