粛清裁判【セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選】

粛清裁判【セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選】
2021/3/133/19
粛清裁判【セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選】

1930年、モスクワ。8名の有識者が西側諸国と結託しクーデターを企てた疑いで裁判にかけられる。この、いわゆる「産業党裁判」はスターリンによる見せしめ裁判で、90年前に撮影された法廷はソヴィエト最初期の発声映画『13日(「産業党」事件)』となった。だが、これはドキュメンタリーではなく架空の物語である——— 発掘されたアーカイヴ・フィルムには無実の罪を着せられた被告人たちと、彼らを裁く権力側の大胆不敵な共演が記録されていた。捏造された罪と真実の罰。スターリンの台頭に熱狂する群衆の映像が加えられ再構成されたアーカイヴ映画は、権力がいかに人を欺き、群衆を扇動し、独裁政権を誕生させるか描き出す。