月刊ウインド2013年9月号(336号)

2013年8月28日
シネ・ウインド

wind1309_1

 表紙はイタリアカラー、「ブルーノのしあわせガイド」(9/21-10/4上映)。

映画から しあわせのヒント をもらっちゃってください♪

 

月刊ウインド9月号の内容は、上映作品の紹介はもちろん、スタートしたデジタルシネマ上映の感想、「犬と猫と人間と2」トークイベント&監督来館のレポート、

いつも好評 平編集長のイラストによるウインドのオススメ「山口晃展」、

楽しかった「齋藤正行×金森穣 柳都会」のレポート、などなど、読みどころ満載!

連載「街の記憶 劇場のあかり」は新潟映研・福島市男さんインタビューの2回目です。

えのきどいちろう「どうしてこんなに映画なんだろう」、恩田雅和「南の果てより愛をこめて」等、コラムも充実。

ぜひお読みください!

 

★シネ・ウインド会員になると月刊ウインドが毎月お手元に届きます。

 

★会員ではない方の購入方法はこちら

 

 《もくじ》

1~2 スケジュール表 料金表 もくじ

3~12 シネ・ウインド インフォメーション

     「天使の分け前」

     「台湾アイデンティティー」

     「Playback」

     「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」

     「ザ・フューチャー」

     「ローマでアモーレ」

     「海と大陸」

     「さまよう獣」

     「ウィ・アンド・アイ」

     「ブルーノのしあわせガイド」

     「ぼっちゃん」

     「ティファニーで朝食を」

13~14 事務局通信

15~16 デジタルシネマ上映スタート 感想

    寄贈本紹介

    どこにも無い場所88 鈴木良一

    ウインド あ・ら・かると

     *応援すると、もっと楽しい

17   イベント報告

     *「犬と猫と人間と2」トーク

18   来館レポート

     *宍戸大裕監督(「犬と猫と人間と2」)

     *井上淳一監督(「戦争と一人の女」)

     *山国秀幸さん(「ガレキとラジオ」プロデューサー)

19   イベント報告

     *「世界がたべられなくなる日」トーク

20   街の記憶 劇場のあかり 29

21~22 ウインドのオススメ

     *山口晃展

     *第18回ながおか映画祭

     *新潟市新津美術館 〈移動美術館〉

23~25 ウインド あ・ら・かると

     *楽しかった柳都会 齋藤正行×金森穣!!

     *Noism2見学&公演

     *芸術監督 笹部博司 囲み取材

     *「松竹大歌舞伎」を観てきました!

     *『G.F.G.S. MAGAZINE』のススメ

     *「新潟の風景 未来への記録」を見て

     *俳誌『白茅』のこと

    どうしてこんなに映画なんだろう 4 えのきどいちろう

26   声風―SEIFU―

    南の果てより愛をこめて 295 恩田雅和

27~28 ピックアップ情報

29   ピックアップレポート 編集後記

 

《スタッフコメント》

 

----------------------------

 

 中学生の頃、2本のドラマに出逢ったことは、その後の人生を大きく変えた。ひとつは「鬼平犯科帳」。この時代劇に熱中したが故に、映画・芝居好きの血が抑えがたくなった顛末は9月号に書いた。もうひとつが、向田邦子脚本「あ・うん」「続あ・うん」である。フランキー堺・杉浦直樹・吉村実子、そして岸田今日子。4人の名優が見せる見事な調和と、胸に秘めた想いを隠すことで保たれる奇妙な信頼関係。軍靴が忍び寄る社会を描きつつ、そのすぐ背後に確かに息づく、人の情愛や哀しみ。戦前社会をステレオタイプで描かないこの作品の姿勢からは、強い影響を受けた。

 そんな私が久々で熱中しているドラマが、佳境を迎えている。宮藤官九郎脚本による「あまちゃん」だ。この作品の破天荒なまでの愉快さと、人間を見据える眼の確かさは、多くの人によって語り尽くされている感がある。放送開始当初、私が「あまちゃん」に惹かれたのは、このドラマが主人公アキ(能年玲奈)周辺の“女系社会”を描いている点だった。

 海女として生計を立て、「来る者拒まず、去る者追わず」の精神を貫く、祖母・夏(宮本信子)。長く故郷と断絶していた母・春子(小泉今日子)。彼らの夫は、それぞれ遠洋漁業の漁師、タクシードライバーであり、物語の中ではどこか来訪者的に描かれる。三陸の街で右往左往する周囲の男たちも、どこか頼りなげであり、たくましい海女たちの引き立て役のようだ。しばらくぶりで帰郷した祖父・忠兵衛(蟹江敬三)が、再び漁に出る前に口にした台詞が忘れられない。「うちの家長は夏さんだ」。男系社会・家父長制を、笑いに紛れて突く。そんなラジカルさが、クドカン氏が紡ぐ物語の裏に、感じ取れるのだ。

 「あまちゃん」はいよいよ、あの震災をドラマとして描く。クドカン氏のインタビューを読む限り、震災後の硬直した社会を笑いで見つめ直すものとなるようだ。憤りさえ覚える現代日本を、また別の視野で捉えるヒントが、このドラマから得られるかもしれない。心して、今後のアキちゃんの活躍を見守りたい。         (8/22 久志田喜八郎)

 

-----------------------------

※月刊ウインド別冊「デジタルシネマ設備募金プロジェクト記録集」が通巻335号となるため、月刊ウインド2013年9月号は通巻336号となります。