いまを語る巫舞(クッ)を観た

シネ・ウインド

先日、東京で朝鮮の舞踏「クッ」を観る機会がありました。

「クッ」と書いても馴染みが薄いのは承知ですが(^_^;、正確に置き換えられる日本語が無いらしい(主催者の方が言ってました。タイトルで使っていた「巫舞」ってのも、意訳または造語なのか)。シャーマンの儀式に由来する朝鮮の伝統舞踊、と定義して、先に進めます。(春にウインドでも上映された、山本政志監督の新作でも、その種の舞踊がファクターとなってましたね)。

ところでシャーマニズムという言葉を聞いて、多くの人がどう感じるのだろう。「近代以降の文化とは馴染みにくいもの」と考える方も、結構いるのかな。分からないけど、ぼく個人はそういう考えはとりたくないです。細かい話はしませんが、現代を生きるための感性と、「近代以前」の文化に共鳴する感性とを併せ持つ(ここが重要)スキルは、こういう時代だからこそ、身につけたほうがいいのではと思います。

何でそんな話を書いたかと言うと、その日観た「クッ」が単なる古典演目ではなく、70年前に終わった「先の大戦」を、その中で「日本人」として戦死する事を強いられた、コリアンの青年の悲しみを主題としたものだったからです。

「クッ」を踊った李愛珠(イ・エジュ)さんは、まさに「クッ」を踊ることを通じて、時代と立ち向かってきた方です。「巫舞」というスタイルを取りながら、「戦争」に噛み砕かれた「ひと」の悲しみを描き、さらに力強く、「戦争」を掃き清め、その悲しみを解き放ってみせたのでした。

それはもちろん、現代芸術でも表現できます。でも、よりプリミティブなスタイルに則ることで、心を震わせる表現の力強さに、ぼくはあくまで敬意を払いたい。李さんが全身で表現した、「戦争」と、そこからの救済に関わるメッセージを、ぼくは(少なくとも、ぼくという肉体は)、忘れることはないと思います。

直上で書いたことと矛盾するようですが(^_^;、映画館という場で、じぶんの心身をフル稼働して作品と対峙することも、ほかの手段とは違った形で作品と、そのテーマと向き合う事を可能とします。いま上映中の「野火」もそうですが、戦後70年ということもあり(または、70年たっても解決されない現状があり)、いろいろな作品が公開されます。それを、劇場という場で受け止めていただければと思います。できればシネ・ウインドで!

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nobi

戦後70年目の夏におくる、シネ・ウインド30年目記念上映
塚本晋也監督の新作「野火」 上映中!
◎「野火」http://nobi-movie.com/
シネ・ウインド上映 7月25日(土)~8月21日(金)
7/25(土)~7/31(金) 10:00~11:35 / 16:45~18:20
8/1(土)~8/7(金)  10:00~11:35 / 14:20~15:55
8/8(土)~8/14(金)  19:20~20:55
8/15(土)~8/21(金)  16:35~18:10

★「中学・高校生 入場料特別割引」
通常、中学生1000円・高校生1500円のところ → 「野火」に限り、中学・高校生 800円
中学・高校生の皆さん、この機会にぜひご来場ください。

★次回のシネ・ウインド30年目プロジェクト会議は、8月18日(火)の夜です。
メンバー随時募集中!
●8月18日(火) 19時~ シネ・ウインド2階 フリースペースにて
(Ichikawa)