ロッコク・キッチン

ロッコク・キッチン
2026/5/95/22
5/9(土) 川内有緒監督 舞台挨拶 5/13(水) YOYOさん(マウンテン・グローサリー)ミニトーク
ロッコク・キッチン

震災から13年が経った2024年、映画監督の川内有緒と三好大輔は、東京と福島を繋ぐ「ロッコク」、そこに暮らす人々を訪ね歩いた。キッチンに立つ姿、料理の手ざわり、食卓で交わされる言葉 ──
一人暮らしのキッチンや、大勢で囲む鍋、寒い夜のスープ。食を通して浮かび上がる福島の「いま」。そこに生きる人々の複雑で温かな日常を映像に刻む。キッチン越しに見えてくるのは、暮らしと記憶のアーカイブである。本作に登場するのは、インド出身で双葉町で観光業に携わるスワスティカ・ハルシュ・ジャジュ、南相馬市小高区で私設ミュージアム「おれたちの伝承館」の館長を務める中筋純、大熊町で夜にだけ開く屋外本屋「読書や 息つぎ」を営む武内優。立場も来歴も異なる3人のキッチンや食卓を通して、福島で続く多様な暮らしのかたちが浮かび上がってくる。
物語の主な舞台は、東京電力福島第一原子力発電所が立地する大熊町と双葉町、今なお帰還困難区域が多く残る浪江町、そして南相馬市小高区。また本作では、地元住民の協力のもと、震災前に撮影されたホームムービー映像を収集し、映画本編に挿入した。かつての町の日常や家族の風景を映し出すそれらの映像は、震災後の再開発や家屋の解体によって失われつつある「暮らしの記憶」を、次の世代へと手渡すための大切な手がかりとなっている。
『ロッコク・キッチン』は、出来事を語る映画ではない。食を通して、福島で生きる人々の現在を、そっと差し出す一本である。