シネ・ウインド上映企画会議 毎週土曜19時~

〈シネ・ウインドKEEPプロジェクト〉として新しい上映機材の設営資金として募金を受付しておりますが、その現状報告や今後のことを含めシネ・ウインド関係者に向けたプロジェクト説明会が行われました。いまどれだけの方々が映画館を応援してくれているのか。その有難みと励み。期限である8月末まで、どのように呼びかけていくべきか。映画館の従業員以外の会員・ボランティアスタッフに向けてまず現況を認識してもらおうという意図です。

これまで当館は安定運営の継続のため、募金のご協力をお願いしてきていますが、今回は更なる行動と発信が不可欠だろうと、業界や映画館事情の理解を得るためにはまず関係者たちが集まっての話し合いからであるという説明会でした。シネ・ウインドという映画館が重要な局面を迎えるタイミングで、思い起こすことはその起源。1985年に新潟古町の名作映画館「ライフ」の閉館に伴い、映画評論家・映画解説者の荻昌弘さんが「映画館を失うことは、直接の損害だけではなく、新潟の精神的威信にかかわる出来事である」と言葉を寄せ、現在の代表取締役である齋藤正行がそれを目にしたことである。「ならば自分たちが映画館を建てよう」と発起を生じさせ、「新潟・市民映画館」が建設運営され40年になる。
荻昌弘さんといえば、日本代表の映画評論家のひとりで、私が生誕する直前に亡くなられた方でもあり、その存在を知ったのは大学進学してレンタル店でバイトしていた頃、映画愛好の先輩から教わったことと、ソーシャルメディアで「月曜ロードショー」の映画解説を視聴したときだった。今では皆さん亡くなられましたが、日本人映画評論家、映画解説者について調べていくうちに荻さんの存在感が沁みていきました。約8年前、シネ・ウインドに初めて関わっていく際にも、荻さんの存在が出発点であることもきっかけのひとつになった。
「映画館を維持しないで、文化など口にできるのか」「肝心なのは、人が自分の行動を自ら決して立つ、そのことである」なるほど戦前から映画に親しんできたひとの言葉ですね。『ポセイドン・アドベンチャー』で立ち上がって進むことを叫んだジーン・ハックマンも今年亡くなられましたね。


まあ、なんと言いますか、どうしてこう映画館に存続してもらいたいのか。単純に映画という文化価値が生活とともにあってほしいということなんですけど、映画館の閉館ラッシュや映画業界の縮小は、これ即ち人類の精神的フォーリング・ダウンですよね。いや私がエンタメの最新サービスの変遷についていけてないだけ、ということでもあるんですけど。レンタルヴィデオ店がなくなって、映画館がなくなると、観たい映画がないんですよね。代表的なVODのラインナップを眺めていても、いかにもいつでも観れるようなタイトルしかなくて。ヒッチコックもジョン・フォードも、キャプラもヒューストンも内田吐夢も増村保造も、せいぜい代表作しかないし。こりゃ映画が終わっていくな、と。

私がシネ・ウインドで映画を観て、上映企画して、募金することは、「もうこれ以上映画が衰退しないでくれ」という声なき叫びです。本当に叫ぶと迷惑なので、黙って叫んでます。映画は世界的に発明、発展、革命、衰退を繰り返してきました。映画興行、製作配給、撮影現場、鑑賞環境、その変遷は何度も重大な局面を迎えてきました。今年もまた、シネ・ウインドには大事なタイミングです。この場所が設立当初の目標である50年に達するために、もう少しだけ頑張らせてもらいます。どうか映画館へのご支援をよろしくお願いします。
若槻健人
シネ・ウインド上映企画部では、上映作品の選定や、作品紹介をお手伝いしてくれる方を募集しています。上映企画会議は毎週土曜19時より、事務所2Fフリースペースにて。映画館の運営に興味がある方、見学・入部など、お気軽に劇場スタッフにお声掛けください。
